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結露のお話

 先日あるお客さんから、室内のカビについて相談を受けました。窓下やキッチンの木製カウンターに黒カビが発生! かなり広がっている状態でした。

 キッチンについては、やはり水はねが大きな原因かと思われますが、窓下のカウンターについては、結露によるもののようです。

 ただ、そのお宅はまだ建ててから2年ほど、お話では1年経たないうちにカビが生えてきたとのことです。

「2重サッシにしてもらって、窓ガラスはいいけど、窓枠の結露がすごくて」

結露はアルミ製の枠にできて、びしょびしょになるほどなのだそうです。

しかしその一方で日中室内では、加湿器を使用していました。エアコンのせいで喉が乾いてしまうのだそうです。

 現在建てられている家の多くが程度の差こそあれ、同じような状況ではないかと思います。

 最近の住宅は、ペアガラスのサッシを始め、外気を完全に遮断し、気密性を高めています。そして多くの家の壁にはクロスが貼られています。クロスとはすなわちビニールということ。隙間を一切なくし、部屋中をビニールでくるんでいるというわけです。こうなると空気はどこにも逃げませんから、24時間換気設備の設置が義務付けられたりします。体に良くないので、24時間換気をするよう推奨される。しかしそれでは冬は寒くて仕方ありませんし、そもそもそれで外気を100%遮断した意味があるのでしょうか? 冷暖房の効果や光熱費の問題、花粉症対策、気密性が求められる理由は様々あるかもしれませんが、24時間換気が必要なように、完全に密閉された空間に、人も家も耐えられないのではないでしょうか。

 快適さとはなんなのか、様々な新技術が生まれる昨今ですが、「いたちごっこ」の感が否めません。

 このお宅がもし壁をしっくいや珪藻土などにしていたら、状況は少し変わっていたかもしれません。アルミサッシではなく、木枠にしていたら、雨戸をつけていたら、……etc.

 もちろん昔のとおりがすべてよいわけではありません。極端に傾倒すれば、それもまた切りがないということです。今を生きる人たちにとっての快適さ、ほどよいところのバランスを考えていくことが、思いもよらなかった事態を防ぐことになるのではないかと思います。

 このお客さんの家では、設計士に修繕を依頼したそうですが、1年経っても来てくれなかったそうです。状況はおそらくわかっているのだと思います。

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